開催期間/2014年9月20日(土)—10月19日(日)
開催会場/アクタス・新宿店(1F)
「こんな椅子が欲しかったんだ」と思わせる深澤直人氏デザインのAOYAMAシリーズ。
価格以上の価値があると思える椅子に、久しぶりに出会えた。
世界的な著名デザイナーである深澤直人氏がデザインした「AOYAMA」は、前後左右、どの角度から見ても美しく、
デザイン上の邪魔なノイズがどこにもない。そして座りやすい。
先日、その製造現場を訪問した。完成した椅子の重量は4.2キログラムしかない。軽量であることは、使い手の日々のストレスを軽減する。
そもそも木工製品にとって、細さや軽さと同時に、強度や耐久性を高めることは極めて難しい。そのため、「AOYAMA」の接合部には、
数多くの見えない工夫と手間が掛けられている。工場では、機械による精密な加工と、熟練の職人の手仕事をバランスよく連携させ、
軽くて工芸品のように美しいこの椅子を、手が届く価格で作っていた。
座ってみた。厚さ8ミリという薄い木製のシートにもかかわらず、微妙に傾斜した座面。背中にフィットするように曲げられた背もたれ。
驚くほど座り心地がいい。それは座った瞬間に実感できる。
美しさにふと目が留まり、軽くて持ちやすいことに好感を持ち、座ってみると、まるで自分のために作られたような心地良さを感じるだろう。
いいモノを選ぶときこそ、こういうインプレッションを大切にしたい。
稀少材マホガニーを、北欧のデザイナーとのコラボレーションで名品にしあげました。
1940年代以降のデンマークで、美しいデザインの木製家具が生まれたのは、優秀なデザイナーの力だけではなく、木の特性を知り尽くした、
優れた木工職人との信頼関係があったからだと言われている。デンマークを代表する家具デザイナーであったハンス・J・ウェグナーも、
家具工房ヨハネス・ハンセン社の職長であったニルス・トムセンとの出会いがあったからこそ、椅子の中の椅子と呼ばれる名作、
「ザ・チェア」を発表することができた。
上から見ると馬蹄形に見えることから「Horse Shoe」と名付けられたこの椅子は、世界的に注目を集めるデンマークのデザイナー、
ハンス・サンガイン・ヤコブセン氏による。ものづくりを熟知しているデザイナーが少なくなったと言われるデンマークで、
職人と対等に会話ができるデザイナーの一人である。
「素材や職人たちと向き合って作り上げていくプロセスにこそ、より美しいデザインが生まれる秘訣がある」と語る。
椅子の試作品が精緻な図面を元に作られる。それを見たとき、ヤコブセン氏は瞬時に背もたれのカーブに図面との微妙な差があることに
気づいた。そして自作の木型を取り出し、職人たちが理解するまで修正すべき箇所を延々と説明していた。
見た目にはわからないほどの修正が幾度も加えられたあとに実際に座ってみて、寄り添うようなその座り心地に感動した。
デザイナーと職人とが心血を注いで作ったこのような家具を見ていると、「まぁ、これでいいか」という気持ちで作られたと感じる製品は、
できるだけ身の回りから排除したくなる。
そして、こういう家具を使っていることで感じる日々の暮らしの豊かさが、その先のモノ選びの基準になるのではないだろうか。
技術、思いやり、こだわりが、現代の作り手たちによって受け継がれた“新たな”家具。
何らかの理由で元々の所有者の手を離れた、いわゆる中古品を求める人がますます増えている。
キーワードは、Reconnect(再びつなぐ)、Recreate(再創造する)、Revalue(再評価する)だ。
家具も中古品に対する抵抗感が完全に薄れている。逆に、1950年代から70年代頃にデンマークで生産された、
一般家庭で長く使われてきた中古家具は、補修作業が間に合わないほどの人気だ。
アクタスが買い付けてくる中古家具は、傷や汚れ、色あせなど、長年の間に刻まれた様々な痕跡がある。
修理をされた形跡があるものもあり、その家具が人々の生活に寄り添ってきたことがわかる。
我々は、日本での修理作業を繰り返してきたことで、当時の職人の技術やこだわりを知るとともに、効率的ではない手仕事だからこそ
醸し出せる味わいがあること、 そして、最新のテクノロジーだけが人々の暮らしを豊かにするわけではないことを学んだ。
いつかは枯渇するデンマークのユーズド家具。半世紀前の職人たちが、たとえ自らの名は世に残らずとも丹精を込めて、
永く愛される家具を作っていたように、アクタスは、当時とまったく同じ工程でこれらを再生産し、
その思いやこだわりを現代の作り手たちによって受け継いでいく「H.W.F」という新たな取り組みを始めている。
アクタス・新宿店
東京都新宿区新宿2-19-1BYGSビル1・2階
TEL/03-3350-6011
OPEN/11:00~20:00 不定休
ACCESS
都営新宿線/丸ノ内線「新宿三丁目」駅下車、C-8出口直結。
JR新宿駅東口から徒歩10分。伊勢丹から5分。