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あえて、未完成。

部屋の中に時計を置いていないから「今が何時ぐらいか」を、開放感のある西向きの窓から入る陽の光を見て、なんとなく確認する毎朝。
窓に掛けているブルーのレース生地が朝日に透けるさまは、見とれる綺麗さだ。


足りないものがあると「買う」ではなく、あるもので「作る」というのが好き。
でも、どれも完成度を極めたものは無い。
それは僕が飽き性で、部屋の模様替えを頻繁にするから、その度にちょっとずつ手を加えてを繰り返せばよいと頭の隅っこで理解しているからだと思う。
ガウディのサグラダファミリアは、完成図面・設計図に向かって気が遠くなるほどの期間をかけて、手を加えながらいよいよ完成に向かっている。

でも僕のそれは違って、完成形はない。

この棚は、4年前に寸三(35×35mmの角材。これより優れたDIY素材はないと思う)の木材を、ホームセンターで買ってきて作ったもの。
それを2ヶ月前に部屋を模様替えするときに、半分くらいに短くして部屋の導線を確保した。さらにペンキで塗装をしていたけれど、ペンキの量が足りなくなり全部塗ることができなかった。
でも、その未完成感は雑と言えば雑だけど、そういう緩さの空気が気に入っている。
「足らなかったから、できた塗装仕上げ」ということで、オリジナリティとしてポジティブに捉えているし、なんだったらそこに、アンドレアス・グルスキーのポストカードを置いて、ちょっとしたギャラリースペースにしてみている。
お茶の世界にも「未完の美」という概念、日本の美意識を表した言葉がある。僕の暮らしのそれは「未完の美」などとは程遠いけれど、どこか通づる部分があると勝手に信じている。

きっと遠くない未来にこの棚はまた、カタチを変え「あえて未完成でいること」になるだろう。

Muneo Watanabe/マーチャンダイジング部 家具開発チーム

出身:大阪

好きな食べ物:味噌汁
自宅のお気に入りスポット:窓。
ちょっとした床の間的な間隔で窓辺にその時々のお気に入りを飾るから。

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