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O-mirror / T-shelfが生まれるまで

プロダクトの開発や企画の裏側を、関わっていただいている様々な分野の方にインタビューする“Diary”。
今回はデザイナーの村尾信太郎さんに、製作を依頼した壁を彩る新作アイテム“O-mirror”と”T-shelf”についてインタビューしました。

村尾信太郎さん
「MURPH(マーフ)」という架空の人物が住む家づくりをコンセプトに、家具や生活に関わるオブジェクトの製作を行うブランドを2022年に立ち上げる。ブランドでは、鏡やスツールから照明やオブジェのようなブックエンドまで制作の幅は多岐に及ぶ。
https://www.from-murph.com/

_よろしくお願いします。早速ですが、今から1年半ほど前(2023年春頃)にgood eighty%のオリジナルミラーを開発したいということでご相談させていただきましたが、当時のことを覚えていらっしゃいますか?

村尾|そうですね、覚えています。普段は自分のブランド「MURPH(マーフ)」をやっていて、一人でデザインから製作、販売まで行うことが多いので、お話をいただけたのは嬉しかったです。あと、同世代の人たちがやっているブランドというのもすごい親近感が湧いたというか 。

_こちらこそ嬉しいです。ありがとうございます。今回の製作にあたり、製品化されるまでに沢山のアイデアを出していただいたと思うのですが、その過程で意識されたことはありましたか?

村尾|そうですね。最初は実現するか分からないけど、とりあえず出してみようみたいな 。そこからだいぶ削ぎ落とされていって今回のミラーとシェルフができました。出来上がるまで、つねに探り探りではあったんですけど 、最終的に家に取り入れやすいかたちに収まったかなという気がします。

_村尾さんの製品のデザインはクリーンでシンプルな印象で、今回ご一緒した中でディスカッションも重ねていて。その時に考え方やマインドもすごいシンプルで簡略化されてるなって感じました。それは普段から意識されているのですか?

村尾|心掛けている訳ではないですね(笑)。 自然とそうなっちゃうんですけど、例えば人それぞれに住んでいる部屋があって、セレクトした家具を使っていて、その中であんまり主張しすぎたくない。細かいところをよく見ると「あ、いいな」って思ってもらえると嬉しいんですよね。あくまで空間の一部っていうイメージは常にしている気がします。


村尾さんの工房。
少しずつ揃えた重機は、統一感を出すためにご自身で一つひとつ塗装したというこだわり。

_世の中のミラーを見るとデザインの似たものが多かったり、差別化がしにくい家具なのかなと思っていましたが、村尾さんのデザインされてきたミラーには唯一無二な存在感を感じます。そういった面で意識されていることはありますか?

村尾| うーん、うまく言えないですけど、かたちに大らかな部分と緊張感のある部分という相反する要素がどちらもあるみたいな。けっこう感覚的なところもあるかもしれないです。

_わかる気がします!村尾さんのプロダクトはエッジ(角)の面取りが特徴のひとつだと思いますが、あのデザインが生まれた経緯はあったりするんですか?

村尾|スツールを作ってるときに塗装していたんですね。でもそれがめっちゃ下手で(笑)。液垂れしてきたのでそれをヤスってたら、エッジが削れて下地が出てきちゃって。あれ、これを技法にしたらかっこいいかもと思って。すいません、そんな経緯です(笑)。

_狙ってじゃなかったんですね(笑)。面白い!!

村尾|たまたまでしたけど、結果的にそれがいいアクセントになりました。


村尾さんのプロダクトで特徴的なエッジの面取り。ブラック塗装でもどこかやわらかな雰囲気を纏う。

_ミラーだけでなくスツールなど、村尾さんがMURPHで作られているものは「壁に付ける」ことを想定されている印象があるのですが、何か理由はあったりするのでしょうか?

村尾|壁に付けることを想定はしていないですが、例えば玄関に置くスツールだとしたら、家の玄関は狭いよな、あんまりスペースを取らないようにっていうことの結果、半円にして壁に付けられるようになりましたね。わりとシンプルな理由かもです。

_極力省スペースという感覚はgood eighty%でも大事にしていることのひとつなので共感しちゃいます。今回のミラーも「賃貸でも壁に付けられるミラー」がこだわりたかったところでした。コンパクトな部屋に住んでいる人や、壁を使うのが苦手な人たちが気軽に取り付けられるっていう。結構無理なお願いも言ってきたと思いますが、今回の開発で一番苦労したところはありますか?

村尾|そうですね。一番最初のアイデア出しがちょっと難しかったですね。僕個人でもブランドをやっているので、そことの兼ね合いもありますし。「違うブランドで自分の色を出す」というのは初めてのことだったので、難しかったかな。


O-mirror
縦でも横でも使えて、どこにでも気軽に飾れる絶妙なサイズ感が特徴。

_今回村尾さんにご依頼して、暮らしに自然と入っていき、でも人(作り手)が見えるようなものを作りたいと思っていました。これって作家さんではなくて、企業がお願いするデザインとしては非常に難しくて、難易度が高いご相談だったんじゃないかと思います。
そもそも、最初にご依頼したときの内容が無茶振りでしたよね(笑)。鏡に何か別の機能も持たせたいです、みたいな。

村尾|そうですね。最初はミラーだけじゃなかったですよね。

_コートハンガーとかも含めて、シリーズとして成立するような話も出たりしていて。でもアイデアを寝かせて、機能を分けたのが良かったです。鏡は鏡、 でももう1個っていう想いがあったことから、このT-shelfが出来上がったような気がします。

村尾|工房に来てもらったときに、初めてプロトタイプをお見せしましたよね。

_そうです。何も知らずに工房に来てサプライズでしたね。「何これ!これだー!」みたいな(笑)。ミラーとセットで付けるシェルフは新鮮だなと思いました。設置するシチュエーションを考える楽しみがより増えますよね。鍵を置いたり、付属の試験管に花を生けて季節を感じる楽しみもありますし。

村尾|そうですね、気軽に楽しめる一輪というのもいいですよね。気張らなくていいというか。

_それこそ村尾さんのお子さんはまだ小さすぎるかもしれないけど、お子さんが道端で摘んできた花を飾るだけでもいいですよね。

村尾|それは絶対にやりたいですね(笑)。


O-mirrorと合わせて開発したT-shelf
一輪だけ飾って季節の移ろいを楽しむのもおすすめです。

_ご自身でされているMURPHは村尾さんの作家性100%で表現されていると思いますが、good eighty%との協業はどうでしたか?

村尾|うーん、難しい質問。でも言えるのは、良い意味でMURPHより遊ばせてもらったというか刺激を多くもらいましたね。打ち合わせの時もそうですけど、いろんな社員の方と話しながらイメージが膨らんでいくということは普段はない経験なので、そういう部分も楽しめたかもしれないです。特に同世代のインテリア好きな人たちが集まってディスカッションをする場所って普通はないですし。そこから製品化されるって楽しいですよね。そのプロセス自体がすごくいいなと思うし、good eighty%ならではだと本当に感じています。

_最後に、使ってくださる方へ伝えたい思いはありますか?

村尾|MURPHを使ってくだっている方の年齢層はgood eighty%(ミレニアル世代)より少し高いので、同世代の方々がどんな風に使ってくれるのか知りたいですね。色んなライフスタイルの方に、様々な使い方を楽しんでほしいです。

Text:Tomohiro Morooka / Aya Nagatomo

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