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14-23がうまれるまで【Part 1】

プロダクトの開発や企画の裏側を、関わっていただいている様々な分野の方にインタビューる“Diary”。

今回は「なんか、いい感じ」を共有してくれる人の元へ、気持ちのいい「家のテキスタイル」を伝え届ける布の専門店 ”ieno textile” さんにインタビュー。
good eighty%でも取り扱っている14-23(イチヨンノニイサン)という140×230cmの暮らしにちょうどいいサイズの布を製作されるようになったきっかけや、お家での布の楽しみ方についてお聞きしました。

左:デザイナーの早坂俊保さん 右:代表取締役/テキスタイルクリエーターの南村弾さん
https://ienotextile.com/

_まずはieno textileさんについて教えてください。

南村|ieno textileは「なんか、いい感じ」を共有してくれる人へ、気持ちのいい「家のテキスタイル」を伝え届ける布の専門店です。
140×230cmというサイズの布をメインにデザインして扱っています。浜田山にあるアトリエ&ショップでは直接、布に触れながら質感や透け感を体験することができます。

_もとは代官山にお店を構えていましたね。浜田山に移られたのはいつですか?

南村|2019年です。代官山にいたときは、ieno textileを含め複数の自社ブランドやOEM生産を行っていましたが、2014年から続けていくうちにieno textileとしてやりたい方向性が明確になってきたんです。
14-23(イチヨンノニイサン)をお客様へ提案していくためには、新たな方法が必要だと考え移転をすることにしました。

_今回はじめて浜田山に来たのですが、駅に降り立つとなんだかほっとしました。代官山から商店街のある住宅エリアへのお引越し。とても環境が変わりましたね。

早坂|そうなんです!代官山は立地面でいうと「ブランド発信する場所」としては最適で、観光客の方も多くいらっしゃいました。一方で、お客様と真剣に暮らしの話をして、布選びをお手伝いするというのが難しかったんです。
私たちが持っている布の情報をみなさまにお伝えしたいけれど、お話しした後は楽しい気分だけで終わってしまうことも多くありました。

店舗にお立ち寄りいただいたその日の気分だけで布を決めるというよりは、これから住まう空間に合う布を一緒に選びたい。そのためには少し落ち着いた空間で、お客様と対話しながら布の良さを伝えられる場所がいいと思いました。
そこで、新たな場所を探しているときに、もともとは代官山にいたので、「山」のつく地名で探していると浜田山でちょうど今の物件が見つかって。それでこちらに引っ越してきました。
浜田山は住宅エリアなので目的がないと来ないエリアだけど、その目的をieno textileにしたかったんです。わざわざお越しいただいたお客様との時間や対話も以前よりさらに大切にするようになりましたね。

引っ越してきて3年が経ったのですが、いまieno textileがやろうとしている「布のある暮らしを伝える」という意味では、この浜田山が合っているんじゃないかなと感じています。
”今のところいい感じ”です(笑)

_so far so good ですね! 140×230cmサイズの布のみの商品ラインナップに初めは驚きました。このサイズに絞られたきっかけは?

早坂|140×230cmサイズは計算して出てきたものではなく、偶然から生まれたサイズなんです。
南村がこれまでテキスタイルを試作する中で、海外生産の布だと、海外現地で見るのと日本に持ち帰って見たときの布の表情や印象が違ったりするので、必ず試作品を自宅で使ってみるようにしているんです。
そのときにカットするサイズが、なんとなく140×230㎝くらいで。それがきっかけでこのサイズが生まれました。偶然にも日本では一般的に生地の巾が約140㎝なので無駄がないのと、日本の住宅は天井までの高さがだいたい250cm、カーテンを吊るレールはそこから20cm程度低いことが多いので、布が230cmだと大抵のお家でちょうどよく収まるということにも後から気が付きました。
窓辺に吊るす以外にも、4人使いのテーブルにも、シングルのベッドに掛けるのにもちょうどいいサイズということも発見して、「これは布の黄金比、暮らしの布のベストサイズだね」と言ってはじまりました。

南村|商品ラインナップが140×230㎝の布だけって結構賭けですよね(笑)でも使えちゃうんですよね、お家のいろいろな場所で。

_good eighty%のメンバーも愛用しているのですが、「あ、ここでも使えた」と発見した瞬間ってインテリアが楽しくなるんです。

南村|10年前から、縫製されたカーテンではない一枚の布を提案していますが、今でも共感いただけることは嬉しいですし、やはりこの一枚の布は普遍的で良いなと思っています。

早坂|例えば、カーテンを購入するにはサイズを測るのに時間がかかったり、縫製にもお金がかかったりして“気軽さ”は少ないですよね。なのに取り付ける場所や使い方は決まっていて、自由度が低いと思います。それがこの一枚の布「14-23」になった瞬間、引っ越しても使えて、季節によっても変えやすくなるんです。自由度、気軽さがぐんっとアップします。

_とても共感します。とくに賃貸住まいだとカーテン購入は少しハードルが高く悩むポイント。
次の家でもどこかでは使えると思うことができると、気持ちが軽くなります。

早坂|ひとつのサイズしか無いからこそ、使い手が色々な方法を試してみたり工夫しながら使うので、生活の中の布をより楽しめる気がしています。
使い方が決まっていないというのは14-23の特徴ですね。生活の中の布を考えた時に、テーブルクロスを買う、カーテンを買うなど私たちは「目的」をもって買っていることが多いのですが、ieno textileでは布そのものを販売しているので、使い方は手に取っていただいた方にゆだねています。だからこそ、サイズが一つでも自由さを感じて楽しんでくださっている方が多いのだと思います。
あと、見た目にも軽快さがあります。一般的なカーテンは端を3つ折りしてミシンでたたいて仕上げます。すると丈夫になるのですが、見た目にも重く感じてしまう。
14-23は端を折らずに糸でロックをかけているので、端まできれいに光を通して軽やかなんです。それによって、どこにでも使えるという気持ち的な軽やかさも生まれているのだと思います。

スタッフの自宅でもTOSSを愛用中


14-23がうまれるまで。【Part 2】 へ続きます。
Text:Maho Nishimoto, Ryo Fukada

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