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Friluftsliv Journal

Be yourself with nature

山歩きの魅力

フリルフスリフときいて真っ先に思い浮かぶのは、ヨーロッパの最高峰モンブランとフランスアルプスです。幼少期から夏休みを過ごしていたこの地域には強い愛着があり、今でも定期的に訪れています。
地球温暖化によって、山の環境は変化を続けていますが、かつてのアルプスでは7月でもかなりの雪が残っていて、強い日差しの下、長時間かけてトレッキングしたものでした。雪山という巨大な白い鉱物に囲まれている感覚や、前に進みながら雪を踏む音、雪にストックが刺さる感触は、独特で神秘的でした。雪が溶け始める頃になると、今度は湿った土のいい匂いがして、長く寒い冬の終わりを告げる小さなクロッカスの花が、所々に咲いていたのを鮮明に覚えています。

標高が比較的低い牧草地を歩くのも、楽しみのひとつです。山の中腹にある休憩所で、ほかの登山者たちと一緒に軽食をとりながら言葉を交わします。傾斜のある牧草地で黙々と草を食べる山羊や牛たちは、良質のミルクとチーズ作りに欠かせない存在です。
刈りとったばかりの干し草の匂い、農場で味わう搾りたての温かいミルク、山から山へ打ちつける落雷の音。太陽の光は、油断するとひどい日焼けをしてしまうほど、強くて攻撃的です。アルプスの澄んだ空気を吸って、急流の水を飲むとき、あまりの水の冷たさにのどの渇きも一気に吹き飛んでしまい、生きている実感と幸福感で満たされます。匂い、音、触覚、味覚、目にするものや景色。あらゆる感覚が刺激されて、より敏感になれることが、フリルフスリフの本質なのだと思います。

景色といえば、アルプスのなかでも、シャモニーの渓谷から臨むモンブランのパノラマは、世界に誇る絶景のひとつです。太陽や雲が動くたびに変化する姿は、一日中眺めていても飽きません。夕暮れになると山頂が明るく輝いて、陽が沈むにつれ赤く燃えるように照らし出されます。おもしろいのは、いくつかの山の尾根や切断面が、動物の顔や形に見えること。我々が移動する方角によってその表情も変わるので、子供らもゲームのように楽しんでいます。

私にとって、山でのトレッキングやハイキングは、自然の迫力や美しさを体験できる一番のフリルフスリフアクティビティですが、 ”母なる自然からの贈り物”を楽しむ機会は数えきれないほどあります。たわわに実ったベリーやヘーゼルナッツを摘んだり、雨が止むと一斉にでてくるカタツムリを捕まえたりなんてことも、子供の頃はよくやっていました。
とはいえ、自然の力は圧倒的で、ときには厳しく危険を伴い、人間を寄せつけないこともあります。私たちはそのことを踏まえた上で、自然と友達になり、自然との対話を楽しむ。それがフリルフスリフの醍醐味ではないでしょうか。

(訳:via&plus)

Claude
フランス在住/
男性/航空業

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