| 秋晴れの気持ちがいいとある日曜日、ここデンマークで知り合った高田ケラー有子さんのお宅へ伺った。高田ケラー有子さんは、デンマーク人のご主人イェスパーさんとご結婚されて、今はデンマークの北シェランを拠点に、造形作家として、またキュレーターとして活動されている(http://www.yukotakada.com)。有子さんとは、9月に行われた彼女と彼女の学生時代からの友人たちによる展示会「3人展」を見に行って以来、作品だけでなく、人間的にもすっかりファンになってしまい、仲良くさせていただいているのだが、ご自宅へ伺うのははじめて。僕たち夫婦は、期待に胸をふくらませつつ、有子さんの住むHelsinge行きのバスに乗り込んだ。 |
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有子さんたちの笑顔に迎えられ、ご自宅に到着。建物は煉瓦造りのデンマークの伝統的長屋スタイル。中に入ってまず、そのリビングルームの広さに驚いた。何よりも家族と過ごす時間を大切にするデンマークにおいては、一般的にリビングルームを広くとるという。大きな窓から光が差し込む明るいリビングルームには、ダイニングセットなどに混じって、イェスパーさんのひいひいおじいさんの代から使われている古い1脚のソファが置いてあった。有子さんいわく、デンマークのどの家庭にもひとつくらいは昔から大切に使われて続けている家具があるとのこと。長い歴史の中で、そのソファのアーム部分などには無数のキズがついていたけれども、そういう思い入れのある古いものをいつまでも大切に使うということは、多くの日本人が忘れてしまっている感覚ではないだろうか。 |
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左上−建物外観
右上−光が差し込む明るいリビングルーム
左下−窓辺のキャンドルスタンドと有子さんの手作りのカーテン
右下−古い1脚のソファ |
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それ以外の部屋としては、ゲスト用の部屋、有子さんとイェスパーさんの寝室、愛息のニコラスの部屋などがある。それぞれの部屋が異なる色でコーディネートされている。その中で特に印象に残ったのがニコラスの部屋。やさしいグリーンで塗られた壁に、三日月型の照明器具が印象的。子供部屋らしい楽しい雰囲気に満ち溢れていた。
廊下を歩いてみると、両方の壁には、有子さんの作品とニコラスの作品(絵)が飾られていた。有子さんが自宅で創作活動をしているのを幼い頃から見ていたニコラスが、絵を描くことが好きになっていったのは、自然の成り行きなのだろう。ちなみに、リビングルームのソファの上に置かれているクッションのカバーは、彼のイラストをもとに有子さんの友人が作品に仕上げたもの。 |
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左上−ゲスト用の部屋
右上−ニコラスの部屋
左下−ニコラスの作品
右下−クッションカバー |
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最後にキッチンを見てみよう。有子さんたちがこの家を購入したとき、今のキッチンとはまるで違ったという。最初に床のカーペットをはがし、フローリングを貼り、それからキャビネットを白に塗り直したり、有子さんが壁に絵を書いたり、オリジナルのロールスクリーンを作ったりして、家族にとって居心地のいい空間を手作りで作っていった。
家の中を見せてもらって、素直に感じたこと。ひとつは、部屋によって壁の色やカーテン、リネンなどのテキスタイルの色が違うこと。日本にいると、家でもオフィスでも白っぽい空間が多く、それが当たり前のように感じていたのだが、その空間に見合った色に変えることにより、空間はまったく違う表情を作りだす。もうひとつは、お気に入りの空間を作っていくには時間がかかるということ。そして、時間をかけて作った空間であるからこそ、居心地がよくその空間をいとおしく感じることができるのだと思う。 |
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キッチン |
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| その後、待望のランチタイム。事前のメールで有子さんから、「デンマーク料理でもたこ焼きでもええよ。」と言われていて、迷いもあったのだが、やっぱり大阪出身の僕ら夫婦にとって、たこ焼きは愛すべき郷土料理。このたこ焼きがまたおいしかった。デンマークでは、タコやイカをあまり見かけないらしく、具はブタとチーズ&ベーコンだったのだが、このふたつがまた絶品。デンマークのブタと乳製品はほんとうにおいしい。そう、もうおわかりかと思うが、有子さんも大阪出身。たこ焼きを食べながら、大阪弁が飛び交うこの空間は、一瞬デンマークにいることを忘れさせた。 |
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| ランチの後、近くの森へ散歩。吹き抜ける風は少しひんやりするけれどもとても心地よく、木々から舞い降りてくる落ち葉の音、ザックザックと歩を進めるたびに足元から聞こえてくる音、時折乗馬の練習で馬が走り抜けていくその足音、そして森のにおい、と全身でデンマークの森を体感した。僕らはちょうど秋の終わりの時期に訪れたのだが、四季によって、森はさまざまな表情を見せてくれるとのこと。この森は、地元の人にとても愛されている森で、幼稚園の遠足などでもよく訪れるとのこと。デンマーク人が散歩好きなのもうなずける。身近なところにこのようなすてきな森があるのだから。 |
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| 森の散歩を終え、ご自宅にてお茶とケーキをごちそうになった後、僕らは家路に着くことにした。リラックスした、のんびりした時間を過ごさせていただいた。使い古された表現だが、時間の流れが明らかに日本とは違う。僕らにとっては、特別な一日に感じたけれども、有子さんたちにとっては、普通の日曜日なのかもしれない。「幸せな日曜日」のおすそわけ、ありがとうございました、という感謝の気持ちとともに、僕の住む町へ向かうバスに乗り込んだ。 |
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